会計・税務に関する
お役立ち情報ブログ

役員が同じでも登記は必要?任期満了時の重任登記の期限・必要書類と費用

法人向けサービス
本サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。

役員の任期が来ても、同じ人が続けるなら登記は不要だと思っていませんか。株式会社では、任期満了と同時に同じ人を選び直す「重任」でも、変更が生じた時から2週間以内に登記が必要です。必要な書類は代表取締役の選び方などで変わるため、まず定款と登記事項証明書を確認しましょう。

この記事では、任期の確かめ方から重任登記の必要書類・費用、自分で申請する手順までを整理します。期限を過ぎた場合や、改選そのものを忘れていた場合の対応も確認できます。

この記事の要点

  • 役員が任期満了と同時に再任(重任)した場合も、変更の登記が要ります。期限は2週間以内です(会社法915条1項)。
  • 取締役の任期は原則2年、監査役は原則4年です。株式の譲渡制限がある会社は、定款で10年まで伸ばせます(会社法332条・336条)。
  • 登録免許税は1件3万円、資本金1億円以下の会社は1万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)カ)。
  • 期限を過ぎても申請は却下されませんが、100万円以下の過料に処せられる可能性があります(会社法976条1号)。
  • 主な添付書類は、株主総会議事録・株主リスト・就任承諾書です。代表取締役の選び方によって、取締役会議事録や互選書が加わります。

顧問税理士をお探しの方へ

会社の規模や記帳の状況をお聞きして、顧問料をお見積りします。

顧問契約のお見積り(無料)はこちら →

数字で先に確かめたい方は、無料の決算診断はこちら。全国オンライン対応です。

役員の重任とは|任期満了と同時に再任されること

法務省のQ&Aは、取締役が任期満了により退任し、時間的間隔を置かずに再任された場合を、登記実務上「重任」と呼ぶと説明しています。そして、この場合にも変更の登記が必要としています(会社法911条3項13号)。

取締役の氏名、代表取締役の氏名と住所、監査役を置く会社では監査役の氏名が、登記する事項です(会社法911条3項13号・14号・17号)。重任すると、登記記録には役員ごとに「令和○年○月○日重任」と記録されます(法務局の記載例 1-7)。

同じ人が続けるだけなので、登記は要らないと考えがちです。しかし、任期が満了した時点で一度退任し、選び直されて就任しているため、その事実を登記します。

任期の確かめ方|定款と前回の登記を見る

任期は、会社法の原則と、定款の定めで決まります。

役員原則の任期定款で伸ばせる場合根拠
取締役選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)は、10年まで会社法332条1項・2項
監査役選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで公開会社でない株式会社は、10年まで会社法336条1項・2項

「公開会社でない株式会社」について、法務省のQ&Aは「株式の譲渡制限に関する定めを設けている株式会社」と説明しています。自社がどうかは定款で確かめます。

任期は「選任した日から2年」ではなく、定時株主総会の終結の時で区切られます。

例:3月決算の会社が、2024年6月の定時株主総会で取締役を選任した(任期は原則の2年)。選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものは、2026年3月に終わる事業年度です。そのため、任期は2026年6月の定時株主総会の終結の時に満了します。

確かめる資料は2つです。

  • 定款:任期を伸ばす(または短くする)定めがあるか。取締役会・監査役を置くか。代表取締役をどう選ぶか。
  • 登記事項証明書:今の役員と、前回の就任・重任の年月日。
法人の決算・申告を任せる顧問税理士をお探しの方は顧問契約のお見積りを依頼する →

重任の登記の期限は2週間|過ぎた場合と改選を忘れた場合

期限は変更が生じた時から2週間

登記した事項に変更が生じたときは、2週間以内に本店の所在地で変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)。

いつから数えるかについて、法務省のQ&Aは、新たに取締役が就任した場合は、選任した株主総会の日ではなく、その取締役が就任を承諾した日としています。取締役が株主総会に出席して就任を承諾している場合は、株主総会の日と同じになります。

期限を過ぎた場合

法務省のQ&Aによれば、登記期間を過ぎた後の申請も、期間を過ぎたことを理由に却下されることはありません。ただし、過料の制裁に処せられる可能性があります。会社法976条1号は、登記をすることを怠ったときを、100万円以下の過料の対象としています。

改選そのものを忘れていた場合

  • 任期満了で退任した役員は、法律または定款で定めた員数が欠ける場合、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を持ちます(会社法346条1項)。
  • 役員が員数を欠くことになった場合に、選任の手続を怠ったときも、過料の対象です(会社法976条22号)。
  • 最後の登記から12年を経過した株式会社は「休眠会社」とされ、法務大臣の公告から2か月以内に届出をしないと、解散したものとみなされます(会社法472条1項)。

改選を忘れたまま時間がたった場合の手続は、事情によって変わります。このような場合は、司法書士への相談を検討してください。

重任の登記に必要な書類|代表取締役の選び方で記載例が分かれる

法務局は、役員の全員が重任する場合の申請書の記載例を、代表取締役の選び方に応じて3つ出しています(法務局「商業・法人登記の申請書様式」)。

会社の形法務局の記載例主な添付書類(記載例の「添付書類」欄)
取締役会を置く会社(代表取締役は取締役会で選定)1-7株主総会議事録・株主リスト・取締役会議事録・就任承諾書
取締役会を置かない会社で、取締役が各自代表する、または株主総会で代表取締役を選定1-8株主総会議事録・株主リスト・就任承諾書
取締役会を置かない会社で、取締役の互選で代表取締役を選定1-9株主総会議事録・株主リスト・互選書・定款・就任承諾書

どの記載例でも、代理人に申請を頼む場合は委任状が加わります(商業登記法18条)。それぞれの書類の根拠は次のとおりです。

株主総会議事録と株主リスト

役員は株主総会の決議で選任します(会社法329条1項)。登記すべき事項に株主総会の決議が要るときは、議事録を付けます(商業登記法46条2項)。

あわせて、議決権の割合が高い順に、10名か、割合を足して3分の2に達するまでの人数のうち少ない方の株主について、氏名・住所・株式数・議決権数などを証する書面(株主リスト)を付けます(商業登記規則61条3項)。

取締役会議事録・互選書と定款

取締役会を置く会社は、取締役会で代表取締役を選定します(会社法362条2項3号・3項)。この取締役会の議事録を付けます(商業登記法46条2項)。

取締役会を置かない会社は、定款、定款に基づく取締役の互選、または株主総会の決議で代表取締役を定めることができます(会社法349条3項)。互選で定めた場合は、互選書と、互選で選ぶ定めのある定款を付ける形が、記載例 1-9 です(商業登記法46条1項・商業登記規則61条1項)。

就任承諾書(議事録の記載で代えられる場合)

取締役・監査役・代表取締役の就任の登記には、就任を承諾したことを証する書面が要ります(商業登記法54条1項)。重任の記載例 1-7〜1-9 も、就任承諾書を添付書類に挙げています。

法務局の記載例は、被選任者が席上で就任を承諾し、その旨が議事録に書かれている場合は、別に就任承諾書を付けなくてよいとしています。その場合は、申請書に「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」のように書きます(記載例 1-7)。

印鑑証明書と本人確認証明書

  • 取締役(取締役会を置く会社では代表取締役)の就任で、就任承諾書の印鑑の印鑑証明書が要るのは「再任を除く」場合です(商業登記規則61条4項・5項)。
  • 取締役・監査役の就任で本人確認証明書が要るのも「再任を除く」場合です(同61条7項)。
  • 代表取締役の就任では、選定した議事録や互選書に押した印鑑の印鑑証明書が要ります。ただし、その印鑑が、変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑と同じときは要りません(同61条6項)。記載例 1-7 は、取締役会議事録に登記所に提出している印鑑が押されていない場合、出席した取締役・監査役全員の実印と、全員の印鑑証明書が必要になると注記しています。

監査役がいる会社の注意

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定めがある会社は、その旨の登記が要る場合があります。記載例 1-7〜1-9 には、その定めを証する書面(定款など)を付ける場合の注が載っています。該当するかは記載例の注で確かめてください。

重任の登記の登録免許税|資本金1億円以下は1万円

  • 取締役・代表取締役・監査役などに関する事項の変更の登記は、申請件数1件につき3万円です。資本金の額が1億円以下の会社は1万円です(登録免許税法 別表第一24号(一)カ)。
  • 法務局の記載例 1-7 は、取締役3名・代表取締役・監査役の全員が重任する申請で、登録免許税を「金3万円(又は1万円)」としています。
  • 役員変更と本店移転のように、区分の違う登記を同じ申請書で受ける場合は、区分ごとに計算した金額を合計します(登録免許税法18条)。

納付は、収入印紙または領収証書で行います。収入印紙は「収入印紙貼付台紙」に、割印をしないで貼ります(法務局の記載例)。

重任の登記を自分でする流れ

  1. 定款と登記事項証明書で、任期と会社の形を確かめる。任期の定め、取締役会・監査役の有無、代表取締役の選び方を見ます。
  2. 定時株主総会で役員を選任し、議事録を作る。席上で就任を承諾した場合は、その旨を議事録に書いておくと、就任承諾書の援用ができます。
  3. 代表取締役を選ぶ。取締役会、取締役の互選、または株主総会で定めます。
  4. 申請書を作る。法務局の記載例の「登記すべき事項」の形に沿って、役員ごとに「資格」「氏名」「原因年月日」(令和○年○月○日重任)を書きます。代表取締役は住所も書きます。
  5. 押印・契印・収入印紙。申請書に押すのは、登記所に提出している印鑑です(商業登記規則35条の2)。申請書と台紙が複数ページになる場合は、つづり目に契印します(法務局の記載例)。
  6. 管轄の登記所へ出す。窓口・郵送・オンラインの方法があります(法務省「商業・法人登記の郵送申請について」)。管轄は法務局の「管轄のご案内」で確かめます。

申請書や議事録の文面は、法務局の記載例を見ながら作れます。入力した事実から法務局の記載例の形で書類を作る無料のツールとして、touki(運営:株式会社Leapal Technologies)もあります。対応しているのは、株式会社の役員変更・本店移転・商号/目的/公告方法の変更・役員の氏名/代表取締役の住所の変更・解散と清算人選任・設立(発起設立・金銭出資)です。どの手続をとるかや入力が正しいかの判断はしないので、できた書類はご自身で確かめてから押印・提出してください。

提出前のチェックリスト

確かめること根拠
任期を、選任の日からでなく定時株主総会の終結の時で数えたか会社法332条・336条
定款で任期を伸ばしている(短くしている)場合、その定めで数えたか会社法332条1項ただし書・2項、336条2項
就任を承諾した日から2週間以内か会社法915条1項・法務省Q&A
株主リストを付けたか商業登記規則61条3項
就任承諾書を付けたか、または議事録の記載を援用する旨を申請書に書いたか商業登記法54条1項・記載例
代表取締役を選定した議事録・互選書に、登記所に提出している印鑑が押されているか(押されていなければ印鑑証明書)商業登記規則61条6項
互選の場合、定款を付けたか記載例 1-9
収入印紙を台紙に貼り、割印をしていないか法務局の記載例

自分で進めるのが難しい場合

法務局の記載例は一例です。次のような場合は、記載例のとおりにならないことがあります。

  • 会計参与・会計監査人・監査役会・監査等委員会・指名委員会等を置く会社や、種類株式を発行している会社
  • 任期の途中で解任された役員がいる、改選を長く忘れていた、役員の員数を欠いている
  • 申請した後に、登記所から補正(申請書や添付書類の修正)を求められた

このような場合は、司法書士への相談を検討してください。法務省のQ&Aは、実際に申請する時に不明な点があれば、本店所在地を管轄する登記所に相談するよう案内しています(予約制)。

登記の後の税務の届出

登記を済ませても、税務の届出は別です。法務局で変更登記をすると、その情報は国税庁へ連絡され、法人番号公表サイトの情報は更新されます。しかし、税務署には別に異動の手続が必要と、国税庁は案内しています(国税庁法人番号公表サイト)。

  • 本店の移転(納税地の異動)・商号の変更・事業目的の変更・代表者の変更などをした法人は、税務署へ「異動届出書」を出します。時期は異動等の後速やかに、提出先は異動前の納税地の所轄税務署長です(国税庁 C1-8)。役員変更で代表者が替わった場合は、ここに当たります。
  • 都道府県・市町村にも、それぞれの定めで異動の届出をします。期限や添付書類は自治体ごとに違います。例えば東京都は「廃止・変更の日から10日以内」(東京都主税局)、大阪市は「遅滞なく」とし、登記事項証明書などの写しの添付を求めています(大阪市)。

どの変更で何を出すか、期限・提出先・届出書の書き方は、登記の後、税務署にも届出が要る?会社の住所・社名・社長を変えた時の異動届出書にまとめています。

リーパル会計事務所では、登記の後の異動届出書の作成を承っています(登記の後の税務の届出(異動届出書)の作成)。登記の申請書や議事録の作成は、当事務所では行っていません。

よくある質問

重任の登記を忘れて、期限を過ぎてしまいました。今から申請できますか。

できます。法務省のQ&Aは、登記期間を過ぎた申請も、そのことを理由に却下されることはないとしています。ただし、過料に処せられる可能性があります(会社法976条1号)。

取締役が1人だけの会社でも、重任の登記は要りますか。

要ります。取締役の氏名と代表取締役の氏名・住所は登記事項で(会社法911条3項13号・14号)、重任でも変更の登記が必要です(法務省Q&A)。取締役会を置かず、取締役が各自代表する会社の記載例は 1-8 です。

重任でも、印鑑証明書は要りますか。

取締役・監査役の就任承諾書についての印鑑証明書と本人確認証明書は、再任の場合は対象外です(商業登記規則61条4項・5項・7項)。代表取締役については、選定した議事録や互選書に、変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑が押されていれば、印鑑証明書は要りません(同61条6項)。

役員の重任と本店移転を、1通の申請書で出せますか。

法務省のQ&Aは、申請人が同じで、管轄の登記所も同じ場合に限り、1通の申請書で複数の登記を申請できるとしています。登録免許税は区分ごとの合計です(登録免許税法18条)。例えば資本金1億円以下の会社が、同じ登記所の管轄内で本店を移転する場合は、役員変更1万円+本店移転3万円で4万円です。

まとめ

  • 役員の顔ぶれが変わらない重任でも、変更の登記が要ります。期限は2週間以内です。
  • 任期は定時株主総会の終結の時で区切られます。定款の定めで伸びている場合があるので、定款と登記事項証明書で確かめます。
  • 登録免許税は1件3万円、資本金1億円以下の会社は1万円です。
  • 添付書類は、代表取締役の選び方に合う法務局の記載例(1-7〜1-9)を見て揃えます。
  • 代表者が替わった場合などは、登記の後に税務署・都道府県・市町村への異動の届出があります。

書類の文面を作る時は、法務局の記載例のほか、touki(無料の書類作成ツール)も使えます。

参考にした法令・資料

この記事は2026年10月時点の法令と、法務省・法務局・国税庁などの公表資料に基づいて書いています。

新着情報NEWS

経理を外注したら社内の仕事は減る?書類の回収と支払管理の分担

法人向けサービス

子どもや障害のある家族の相続税は減る?未成年者控除と障害者控除の計算

事業承継・相続

税理士への依頼はいつがいい?税理士事務所の繁忙期と準備する資料

経営相談

子どものいない夫婦の遺産は誰が相続する?配偶者の取り分と相続税

事業承継・相続

決算の内訳はどこまで書く?勘定科目内訳明細書の書き方と確認点

税務

兄弟姉妹の遺産を相続すると税金はいくら?相続人になる条件と相続税

事業承継・相続

源泉所得税の納付が遅れたとき|不納付加算税・延滞税と納期の特例への影響

税務調査

兄弟や孫が遺産をもらうと税金が増える?相続税の2割加算の対象と計算例

事業承継・相続

調剤薬局の経理は何から確認?調剤報酬・消費税・棚卸の基本

税務