会社をつくった後で、青色申告の承認申請を出し忘れたと気づくと、決算への影響が心配ですよね。期限に間に合わなかった期は白色申告となり、原則として、その期の赤字を翌期以降の利益から差し引けません。法人税の申告は必要なので、次に青色申告にできる期と申請期限を確認しましょう。
この記事では、1期目が白色になる影響と、気づいた時点で進める手続きを整理します。個人事業主の手続きは青色申告承認申請書の書き方をご覧ください。
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法人の青色申告の申請期限はいつか
法人税法122条1項は、青色申告の承認を受けようとする法人は、その事業年度開始の日の前日までに申請書を納税地の所轄税務署長に提出すると定めています。設立1期目は事業年度が始まる前に出せないため、同条2項で別の期限が置かれています。国税庁の手続案内『青色申告書の承認の申請』をもとに、株式会社や合同会社などの普通法人に関係する期限を並べます。
| 青色にしたい事業年度 | 申請書の提出期限 | 根拠 |
|---|---|---|
| 設立の日の属する事業年度(1期目) | 設立の日以後3月を経過した日と、1期目終了の日とのうち、いずれか早い日の前日 | 法人税法122条2項1号 |
| 設立の日から1期目終了の日までが3月に満たない場合の2期目 | 設立の日以後3月を経過した日と、2期目終了の日とのうち、いずれか早い日の前日 | 国税庁の手続案内(提出時期の5) |
| 上記以外の2期目以降 | その事業年度開始の日の前日 | 法人税法122条1項 |
申請書を出した後、その事業年度終了の日(中間申告書を提出すべき法人は、その事業年度開始の日以後6月を経過する日)までに承認または却下の処分がなかったときは、その日に承認があったものとみなされます(法人税法125条1項)。通知が来ないまま申告の時期を迎えても、期限内に申請していれば青色申告書で申告できる、という仕組みです。
1期目の期限は、設立日と1期目の末日で決まります。設立から3か月がたつ前に1期目が終わる会社もあるため、自社の期限は登記簿の設立日と定款の事業年度を並べて確かめます。
1期目が白色になっても変わらないこと
まず、白色申告になっても、法人としての申告や帳簿の義務は残ります。青色かどうかで変わるのは、あくまで法人税の申告書を青色申告書で出せるかどうかです。国税庁の手続案内も、この申請を、法人税の確定申告書と中間申告書を青色申告書で提出することの承認を受ける手続としています。
- 法人税の確定申告:各事業年度終了の日の翌日から2月以内に、確定した決算に基づいて申告書を提出します(法人税法74条1項)。定款の定めなどにより申告期限の延長の特例(法人税法75条の2)を受けている法人は、延長後の期限です。1期目が白色でも同じです。
- 帳簿の備付け:青色申告の承認を受けていない普通法人も、財務省令で定めるところにより帳簿を備え付けて取引を記録します(法人税法150条の2第1項)。
- ほかの税目:消費税、源泉所得税、法人住民税などの手続きは、法人税の青色申告の承認とは別に進みます。
「白色だから帳簿は簡単でよい」と考えると、2期目に青色の承認を受けるときに困ります。理由は後の章で説明します。
白色の事業年度で使えなくなる主な扱い
国税庁の手続案内は、青色申告の場合には各種の特典が受けられるとしています。1期目の数字に影響しやすいものを、青色の期と白色の期で比べます。
| 扱い | 青色申告書を提出した事業年度 | 白色申告の事業年度 |
|---|---|---|
| 欠損金の繰越控除 | その期に生じた欠損金額を、以後10年以内に開始する事業年度の所得から控除できる | その期の欠損金額のうち、災害による損失(災害損失金額)を超える部分は、ないものとされる |
| 欠損金の繰戻し還付 | 還付所得事業年度から連続して青色申告書を出していれば、前期に繰り戻して法人税の還付を請求できる(中小企業者等など) | 災害損失欠損金額の場合を除き、白色の期は還付を受ける側の事業年度にも、欠損を出した側の事業年度にもなれない |
| 少額減価償却資産の特例 | 青色申告書を提出する中小企業者等が使える | 使えない(取得価額10万円未満の少額の減価償却資産を損金経理で損金にする扱いは、白色でも使える) |
欠損金の繰越控除は「欠損が出た期」が青色かで決まる
国税庁のタックスアンサー『No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除』によると、繰越控除をする法人は、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出し、帳簿書類を保存している法人です。欠損が出た期に青色で申告していれば、その後の期が白色でもその欠損金額は対象になります。
逆に、1期目が白色で1期目に欠損金が出た場合、法人税法58条により、災害損失金額を超える部分は繰越控除の計算上ないものとされます。2期目以降に青色の承認を受けても、1期目の欠損金はさかのぼって繰り越せません。
※説明のための架空の例です。設立1期目に設備や立ち上げの費用で300万円の欠損が出て、2期目に500万円の所得が出たとします。1期目が青色なら、2期目の所得の計算で1期目の欠損金を控除できます(資本金1億円以下の中小法人等は、控除前の所得の金額まで)。1期目が白色なら、災害による損失でない限り、2期目の所得は500万円のまま計算します。
欠損金の繰戻し還付
タックスアンサー『No.5763 欠損金の繰戻しによる還付』は、青色申告書である確定申告書を提出する事業年度に生じた欠損金額を、その期の開始の日前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して還付を請求できるとしています。要件の一つは、還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していることです。1期目に所得が出て法人税を納め、2期目に欠損が出た場合でも、1期目が白色なら1期目への繰戻しはできません。なお、この制度は中小企業者等以外の法人には、一定の場合を除いて適用されません。
少額減価償却資産の特例
タックスアンサー No.5408 では、少額減価償却資産の取得価額を損金の額に算入できる特例の対象を、青色申告書を提出する中小企業者等としています。1期目にパソコンや備品をそろえた場合、白色の期ではこの特例は使えません。一方、取得価額が10万円未満の少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度に取得価額を損金経理すれば損金の額に算入できます(タックスアンサー No.5403・法人税法施行令133条)。この扱いは白色の期でも使えます。特例の仕組みと金額の基準は「少額減価償却資産の特例」で扱っています。
期限を過ぎたと気づいた時点でする手続き
法人税法122条の申請期限は、青色にしたい事業年度ごとに決まっています。期限を過ぎた1期目は白色で申告し、次の期から青色にするための手順を進めます。
- 2期目の開始日を確かめる:定款の事業年度から、2期目開始の日と、その前日(1期目の末日)を確定させます。1期目が3月に満たない会社は、上の表の2行目の期限になります。
- 2期目の申請期限までに申請書を出す:様式は「青色申告の承認申請書」で、提出先は納税地の所轄税務署長です。e-Taxで作成・提出でき、書面の場合は1部を持参または送付します。
- 2期目の帳簿を青色の要件で付ける:税務署長は、申請した事業年度の帳簿書類の備付け、記録、保存が財務省令どおりに行われていないときは、申請を却下できます(法人税法123条1号)。
- 1期目は白色の確定申告書を期限内に出す:1期目の欠損金は繰り越せない前提で、2期目以降の資金計画を立てます。
- みなし承認を待つ:2期目終了の日(中間申告書を提出すべき法人は2期目開始の日以後6月を経過する日)までに却下の処分がなければ、承認があったものとみなされます。
※説明のための架空の例です。3月決算の会社で、1期目の末日が2027年3月31日なら、2期目(2027年4月1日開始)を青色にするための申請期限は2027年3月31日です。
申請書の記載要領では、「帳簿組織の状況」欄に、伝票から総勘定元帳までの帳簿書類の種類、形態、記帳の時期を書くこととされています。会計ソフトで記帳しているか、記帳を毎日・週ごとのどちらで行うかなど、2期目の記帳の体制を決めてから書くと、記載と実態がずれません。
判断に迷う場面と相談先
次のような場面は、日付や事実の確認しだいで結論が変わります。
- 設立日と1期目の末日の間が短く、1期目と2期目のどちらの期限に当たるか分からない
- 1期目の期限の前後に申請書を出しており、どの事業年度の申請として扱われるか分からない
- 1期目に欠損が出そうで、決算の数字の組み方を2期目の青色申告とあわせて考えたい
申請書がどの事業年度の申請として扱われているかは、提出先の税務署で確認できます。1期目の決算と2期目の青色申告の準備を合わせて進める場合は、数字で試算しないと影響の大きさが決まりません。法人税の申告書の作成の代行や個別の税務相談は税理士の業務です(税理士法2条)。
なお、個人事業主の青色申告承認申請書の期限は、新規開業の場合、業務を開始した日から2か月以内です(タックスアンサー No.2070)。「2か月」は個人の期限であり、法人の期限とは数え方が違う点に注意してください。
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まとめ:1期目を逃しても2期目の期限は守る
- 法人の1期目の申請期限は、設立の日以後3月を経過した日と1期目終了の日のいずれか早い日の前日です。
- 期限を過ぎた1期目は白色申告になりますが、法人税の確定申告と帳簿の備付けは必要です。
- 白色の期に生じた欠損金は、災害損失金額を除き繰越控除の対象になりません。
- 白色の期は、欠損金の繰戻し還付や少額減価償却資産の特例の対象にもなりません。
- 2期目から青色にする申請期限は、2期目開始の日の前日(1期目の末日)です。
- 2期目の帳簿が財務省令どおりでないと、申請が却下されることがあります。
1期目の数字よりも、2期目の期限を確実に守ることが先です。
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よくある質問
Q. 1期目に利益が出ていれば、白色でも影響は小さいですか?
1期目に欠損が出なければ、欠損金の繰越控除の点では差は出ません。ただし、1期目に取得した資産に少額減価償却資産の特例が使えないことや、2期目に欠損が出たときに1期目へ繰戻し還付ができないことは残ります。影響の大きさは、1期目と2期目の数字を並べて試算しないと決まりません。
Q. 1期目の期限を過ぎてから申請書を出してしまいました。出し直しは必要ですか?
2期目から青色にするには、2期目開始の日の前日までに申請書が出ていることが条文上の要件です。すでに出した申請書がどの事業年度の申請として扱われているかは、提出先の税務署で確認できます。確認した結果に応じて、2期目の期限までに必要な手続きをとります。
Q. 承認の通知が届かないまま2期目の決算を迎えたらどうなりますか?
法人税法125条1項により、申請した事業年度の終了の日(中間申告書を提出すべき法人は開始の日以後6月を経過する日)までに承認または却下の処分がなければ、その日に承認があったものとみなされます。期限内に申請していれば、通知が無いことだけで白色になるわけではありません。
Q. 1期目が白色だと、2期目以降の欠損金も繰り越せなくなりますか?
なりません。繰越控除の対象になるかは、欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出したかで決まります(No.5762)。2期目が青色で2期目に欠損が出れば、その欠損金は繰越控除の対象になり、以後の期も連続して確定申告書を出し、帳簿書類を保存することが条件です。
Q. 個人事業から法人にした場合、個人のときの青色申告の承認は引き継げますか?
法人の青色申告は、法人税法122条に基づいて法人として申請します。個人のときの青色申告の承認(所得税)とは別の手続きで、法人の申請期限は設立1期目の期限が当てはまります。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月26日
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