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遺産の何%が税金になる?相続税の税率と速算表の使い方・計算例

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相続税の税率表を見て、遺産の何%を納めることになるのか戸惑っていませんか。税率は10〜55%ですが、遺産の総額にそのまま掛けるわけではありません。基礎控除を引き、法律上の割合で家族に分けたと仮定した金額に、それぞれ税率を当てはめます。

この記事では、速算表の読み方と間違えやすい計算を、家族の例で確かめます。計算全体を順に追いたい方は、相続税の計算方法|5つの手順と計算例もあわせてご覧ください。

この記事の要点

  • 税率は10〜55%の8段階です。「法定相続分に応じた取得金額」ごとに、速算表を当てはめます(相続税法16条)。
  • 遺産1億円・配偶者と子2人なら、正しい総額は630万円です。遺産の総額に当てると2,300万円、各人の取得額に当てると1,450万円で、どちらも誤りです。
  • 平均の税率(総額÷課税価格)は、遺産1億円で配偶者と子2人なら6.3%、子2人なら7.7%です。
  • 子2人の場合と、配偶者と子1人の場合は、法定相続分がどちらも2分の1ずつなので、総額が同じになります。
  • 遺産が1,000万円増えたとき、配偶者と子2人で遺産1億円なら、総額は155万円増えます。

相続税の税率と速算表|10〜55%の8段階

相続税の税率は、相続税法16条の表で定められています。国税庁のタックスアンサー(No.4155)には、次の速算表が載っています。「法定相続分に応ずる取得金額」に、税率を掛けて、控除額を引きます。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%-
1,000万円超から3,000万円以下15%50万円
3,000万円超から5,000万円以下20%200万円
5,000万円超から1億円以下30%700万円
1億円超から2億円以下40%1,700万円
2億円超から3億円以下45%2,700万円
3億円超から6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

速算表は、段ごとの税率を積み上げた計算(超過累進)を、1回の掛け算と引き算にまとめたものです。たとえば取得金額が2,600万円なら、次の2通りで同じ金額になります。

  • 段ごとの積み上げ:1,000万円までの部分×10%=100万円、1,000万円を超え2,600万円までの部分×15%=240万円。合計340万円。
  • 速算表:2,600万円×15%-50万円=340万円。

どちらで計算しても同じです。控除額は、その段より下の部分の税率差を、あらかじめ差し引いておくための数字だと考えると分かりやすくなります。

税率を掛ける金額は「法定相続分に応じた取得金額」|遺産の総額ではない

国税庁は、「相続税額の算出方法は、各人が相続などで実際に取得した財産に直接税率を乗じるというものではありません」と説明しています(No.4155)。正しくは、次の順序です。

  1. 遺産の合計(課税価格の合計)から基礎控除額を引き、課税遺産総額を出す。
  2. 課税遺産総額を、法定相続人が民法の法定相続分で取得したと仮定して分ける(1,000円未満切り捨て)。
  3. その各取得金額に、速算表で税率を当てはめて税額を出し、合計する。これが相続税の総額です。
  4. 総額を、実際に取得した課税価格の割合で各人に割り振る。

遺産1億円・配偶者と子2人(基礎控除は4,800万円)なら、課税遺産総額は5,200万円です。配偶者の法定相続分は2分の1、子は各4分の1なので、取得金額は配偶者2,600万円、子は各1,300万円で、どちらも15%の段に入ります。

法定相続人取得金額速算表の税率算出税額
配偶者(2分の1)2,600万円15%(控除額50万円)340万円
子A(4分の1)1,300万円15%(控除額50万円)145万円
子B(4分の1)1,300万円15%(控除額50万円)145万円
相続税の総額630万円

国税庁のタックスアンサーの例(課税遺産総額が1億5,200万円・妻と子2人)では、妻7,600万円に30%・子3,800万円(各)に20%を当てはめ、総額は2,700万円になります。

間違えやすい税率の当て方3つ

同じ設例(課税価格の合計1億円・配偶者と子2人)で、誤った当て方と正しい当て方を並べます。

当て方税率を掛ける金額出る税額判定
誤り1 遺産の総額に当てる1億円2,300万円× 30%の段(控除額700万円)で計算してしまう
誤り2 課税遺産総額に当てる5,200万円860万円× 法定相続分に分けていない
誤り3 各人が実際に取得した額に当てる配偶者5,000万円・子各2,500万円1,450万円× 実際の分け方ではなく、法定相続分で計算する決まり
正しい 法定相続分に応じた取得金額に当てる2,600万円・1,300万円・1,300万円630万円○ 相続税法16条

いずれの誤りも、正しい630万円より大きくなります。これは、累進税率の性質で、金額をまとめて掛けるほど高い段に入るためです。「実際の分け方で税率を掛けない」点は、相続税の計算方法でも、よくある誤りの1番目に挙げています。

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遺産額が増えると、税率はどの段に入るか|配偶者と子2人の例

配偶者と子2人の家族で、遺産額(課税価格の合計)を変えたときに、各人の取得金額がどの税率の段に入るかを並べます。配偶者は法定相続分が2分の1、子は各4分の1です。

遺産額課税遺産総額配偶者の取得金額→税率子(各)の取得金額→税率相続税の総額
5,000万円200万円100万円→10%50万円→10%20万円
1億円5,200万円2,600万円→15%1,300万円→15%630万円
1億5,000万円1億200万円5,100万円→30%2,550万円→15%1,495万円
2億円1億5,200万円7,600万円→30%3,800万円→20%2,700万円
3億円2億5,200万円1億2,600万円→40%6,300万円→30%5,720万円
5億円4億5,200万円2億2,600万円→45%1億1,300万円→40%1億3,110万円

課税遺産総額が増えるにつれて、法定相続分の大きい配偶者のほうが、子より先に高い段に入ります。ただし、実際に納める税額は、総額を課税価格の割合で割り振った後で、配偶者の税額軽減などを引いて決まります。配偶者の税額が軽減される部分は、税率の段が上がるのとは別の話です。

税率が上がる遺産額の目安|家族構成別の境目

遺産額が増えると、まず法定相続分がいちばん大きい人の取得金額が、次の税率の段に入ります。次の表は、その境目になる遺産額(課税価格の合計)です。「基礎控除額+段の上限÷最も大きい法定相続分」で出します。この金額を超えると、法定相続分が最も大きい人の取得金額が、その行の段の上限を超えて、次の段に入ります。

子だけが相続人の場合

遺産額の目安子1人子2人子3人
基礎控除額3,600万円4,200万円4,800万円
15%の段に入る4,600万円6,200万円7,800万円
20%の段に入る6,600万円1億200万円1億3,800万円
30%の段に入る8,600万円1億4,200万円1億9,800万円
40%の段に入る1億3,600万円2億4,200万円3億4,800万円
45%の段に入る2億3,600万円4億4,200万円6億4,800万円
50%の段に入る3億3,600万円6億4,200万円9億4,800万円
55%の段に入る6億3,600万円12億4,200万円18億4,800万円

配偶者と子が相続人の場合

遺産額の目安配偶者と子1人配偶者と子2人配偶者と子3人
基礎控除額4,200万円4,800万円5,400万円
15%の段に入る6,200万円6,800万円7,400万円
20%の段に入る1億200万円1億800万円1億1,400万円
30%の段に入る1億4,200万円1億4,800万円1億5,400万円
40%の段に入る2億4,200万円2億4,800万円2億5,400万円
45%の段に入る4億4,200万円4億4,800万円4億5,400万円
50%の段に入る6億4,200万円6億4,800万円6億5,400万円
55%の段に入る12億4,200万円12億4,800万円12億5,400万円

たとえば配偶者と子2人(配偶者が2分の1・子が各4分の1)なら、遺産が6,800万円を超えると、配偶者の取得金額が1,000万円を超えて15%の段に入ります。子はまだ10%の段のままです。子の取得金額が1,000万円を超えるのは、その倍の課税遺産総額(基礎控除を足すと8,800万円)を超えてからです。

境目の少し手前で評価や債務の額が動くと、総額が段をまたいで変わることがあります。境目に近いときは、財産の評価と債務・葬式費用を丁寧に確かめてから計算してください。

平均の税率(実効税率)|遺産額と家族構成別の早見

実際に負担する税率の目安としては、相続税の総額を課税価格の合計で割った「平均の税率(実効税率)」が分かりやすい指標です。次の表は、家族構成と遺産額(課税価格の合計)ごとの平均の税率です。配偶者の税額軽減を引く前の、相続税の総額で計算しています。小数第2位を四捨五入しています。

子だけが相続人の場合

遺産額子1人子2人子3人
5,000万円3.2%1.6%0.4%
1億円12.2%7.7%6.3%
1億5,000万円19.1%12.3%9.6%
2億円24.3%16.7%12.3%
3億円30.6%23.1%18.2%
5億円38.0%30.4%26.0%
10億円45.8%39.5%35.0%

配偶者と子が相続人の場合

遺産額配偶者と子1人配偶者と子2人配偶者と子3人
5,000万円1.6%0.4%0%
1億円7.7%6.3%5.2%
1億5,000万円12.3%10.0%8.9%
2億円16.7%13.5%12.2%
3億円23.1%19.1%16.9%
5億円30.4%26.2%23.8%
10億円39.5%35.6%33.3%

同じ遺産額でも、家族構成で平均の税率は変わります。遺産1億円で比べると、子1人は12.2%、子2人は7.7%、子3人は6.3%です。人数が多いほど、基礎控除が増え、1人あたりの取得金額も小さくなるためです。

なお、この表は配偶者の税額軽減を引く前の総額で計算しています。遺産1億円・配偶者と子2人の例では、総額ベースが6.3%ですが、法定相続分どおりに分けて配偶者の税額軽減を使うと、実際に納める合計は315万円で、遺産に対する割合は3.15%です。

配偶者がすべて取得するなら、一次の納付は0円になります。実際に納める割合は分け方で変わるので、この表の数字は、分け方を決める前の目安として使ってください。

もう1点、見落としやすい事実があります。子2人の行と、配偶者と子1人の行は、すべての列で同じ数字です。法定相続分が、どちらも2分の1ずつだからです。相続税の総額は、誰が相続人かではなく、基礎控除の人数と法定相続分の組み合わせで決まります。実際に納める税額は、そのあと配偶者の税額軽減などで変わります。

金額や割合の一覧は、次の記事にあります。

  • 相続税の早見表:家族構成別・遺産額別の金額
  • 遺産1億円の相続税はいくら?:遺産1億円の全パターン
  • 法定相続分の割合:法定相続分の一覧

遺産が1,000万円増えると、税額はいくら増えるか|増える分にかかる税率

平均の税率とは別に、「あと1,000万円遺産が増えたら、総額はいくら増えるか」も、財産の価額が増減したときの目安になります。次の表は、遺産が1,000万円増えたとき、増えた1,000万円のうち何%が総額の増加になるかです(小数第1位を四捨五入)。

子だけが相続人の場合

遺産額子1人子2人子3人
5,000万円15%10%10%
1億円30%19%15%
1億5,000万円40%30%20%
2億円40%30%30%
3億円45%40%30%
5億円50%45%40%
10億円55%50%50%

配偶者と子が相続人の場合

遺産額配偶者と子1人配偶者と子2人配偶者と子3人
5,000万円10%10%6%
1億円19%16%13%
1億5,000万円30%23%20%
2億円30%25%23%
3億円40%35%30%
5億円45%43%38%
10億円50%48%45%

たとえば配偶者と子2人で遺産1億円のとき、遺産が1億1,000万円になると、総額は630万円から785万円へ、155万円増えます。増えた1,000万円に対して15.5%です。一方、同じ遺産1億円でも子1人の家族は、総額が300万円増え、増えた1,000万円に対して30%がかかります。人数が少なく、1人あたりの取得金額が大きいと、高い段に入っているためです。

基礎控除以下の金額では、増えても税額は0円のままです。基礎控除を超えた最初の1,000万円には、10%の段から入っていきます。

自分の計算を検算するチェックリスト

税率を当てはめて計算した後に、次の点を順に確かめてください。

  • □ 税率を掛けた金額は、「課税遺産総額×法定相続分」の取得金額ですか(遺産の総額や実際の取得額ではない)。
  • □ 取得金額は、法定相続人ごとに別々に、速算表を当てていますか(課税遺産総額をまとめて1回当てていない)。
  • □ 法定相続人の数は、相続放棄をした人を含め、養子の数の上限(実子がいれば1人・いなければ2人)を守っていますか(数え方は相続税の基礎控除)。
  • □ 各取得金額は1,000円未満、総額は100円未満を切り捨てていますか(相続税法基本通達16-3)。
  • □ 総額を各人に割り振るのは、実際に取得した課税価格の割合で行いましたか。
  • □ 兄弟姉妹・甥姪など一親等の血族でも配偶者でもない人の分は、2割加算をしましたか。

ここまで確認できれば、税率の当てはめの誤りはほぼ防げます。2割加算の対象は相続税の2割加算、配偶者の取得分が軽減される仕組みは配偶者の税額軽減で説明しています。

よくある質問

相続税の税率は、贈与税と同じですか。

別の税率表です。贈与税には、一般税率と特例税率があります(贈与税は贈与を受けた人ごとに、1年分の贈与額から基礎控除を引いて計算します)。相続税の速算表を、贈与に使うことはできません。贈与税の税率は、贈与税の税率と速算表にまとめています。

配偶者は、税率が低くなるのですか。

配偶者にだけ別の税率表があるわけではありません。配偶者の取得分が、1億6,000万円か配偶者の法定相続分相当額のどちらか大きい額までなら、配偶者の税額が軽減される仕組み(税額軽減)があります。税率ではなく、算出した税額から軽減額を引いて、納付税額が決まります(相続税法19条の2、No.4158)。

2割加算は、税率が上がるということですか。

税率表が変わるのではなく、算出された相続税額に、その2割を加算するものです。対象は、被相続人の配偶者と一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)以外の人です(相続税法18条、No.4157)。たとえば兄弟姉妹や甥姪が相続する場合が当てはまります。

基礎控除を少し超えただけなら、税率は10%ですか。

各人の取得金額が1,000万円以下の間は、10%の段です。配偶者と子2人の家族なら、遺産が基礎控除額の4,800万円を超えて6,800万円までの間は、全員が10%の段にとどまります。ただし、税率が低くても、基礎控除を超えれば相続税の申告は必要です(相続税法27条1項、No.4205)。

最高税率の55%は、いくらからかかりますか。

法定相続分に応ずる取得金額が6億円を超えた部分に、55%がかかります。配偶者と子2人の家族なら、遺産が12億4,800万円を超えると、配偶者の取得金額が6億円を超えます。その手前の50%の段は、3億円超から6億円以下の部分です。

控除額の「50万円」「200万円」は、何ですか。

段ごとの税率を積み上げる計算を、1回の掛け算と引き算に直すための数字です。取得金額に「その段の税率」をまとめて掛けたあと、低い段の部分で多く掛けすぎた分を引くための数字として使います。

税率は今後変わりますか。

この記事は2026年10月時点の速算表(国税庁 No.4155、令和8年4月1日現在の法令等)に基づいています。今後の改正は、国税庁の最新のタックスアンサーで確認してください。

まとめ

  • 相続税の税率は10〜55%の8段階で、「法定相続分に応じた取得金額」ごとに、速算表(税率と控除額)を当てはめます。
  • 遺産の総額や、各人が実際に取得した額に税率を掛けると、総額が過大になります。例(配偶者と子2人・遺産1億円)では、正しい総額が630万円のところ、誤った当て方で2,300万円・860万円・1,450万円になりました。
  • 平均の税率は、家族構成と遺産額で大きく変わります。遺産1億円では、配偶者と子2人が6.3%、子2人が7.7%です。
  • 総額は、基礎控除の人数と法定相続分の組み合わせで決まります。実際に納める税額は、分け方と、配偶者の税額軽減・2割加算などで決まります。
  • 家族に合わせた分け方ごとの税額や二次相続の合計は、無料の相続税シミュレーターで、分け方ごとの税額と二次相続を比べられます。申告を任せたいときは、リーパル会計事務所の相続税申告のページに、料金と進め方(全国オンライン対応)を掲載しています。

監修

本記事は、公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。

参考にした法令・資料

この記事は2026年10月時点の法令・通達に基づいて書いています。

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