法人の確定申告を準備していて、書類をどこまでそろえ、どこへ出すのか迷っていませんか。まずは国税と地方税に分け、提出先ごとに申告書と添付書類を確認しましょう。国税は税務署、地方税は原則として事務所のある都道府県と市町村に提出します。
この記事では、株式会社や合同会社が出す書類を、提出先別に一覧で確認できます。期限や電子申告の注意点も整理します。決算書自体の役割は法人決算書の種類の記事をご覧ください。
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提出先は3つ:税務署・都道府県・市町村
まず、どの税金の申告書をどこへ出すかの全体像です。東京都の場合は特例があるため、表の下で補足します。
| 提出先 | 申告する税金 | 主な書類 |
|---|---|---|
| 税務署(納税地の所轄) | 法人税・地方法人税・防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から) | 法人税申告書(別表)と添付書類 |
| 税務署(納税地の所轄) | 消費税・地方消費税(課税事業者の場合) | 消費税の確定申告書と付表 |
| 都道府県(都税事務所・県税事務所など) | 法人事業税・特別法人事業税・道府県民税(法人住民税) | 事業税・道府県民税の確定申告書(東京都の案内では第6号様式) |
| 市町村(市役所・町村役場) | 市町村民税(法人住民税) | 市町村民税の確定申告書 |
法人住民税には、都道府県に納める分と市町村に納める分の2つがあります。東京都の案内では、23区内の法人は都の特例として市町村民税相当分も合わせて都民税として都税事務所に申告し、市町村にある法人は都民税を都税事務所などに、市町村民税を市役所・町村役場にそれぞれ申告するとされています。つまり、23区内にだけ事務所がある会社は、地方税の提出先が都税事務所の1か所になります。
事務所が複数の都道府県にある法人は、事務所のある都道府県ごとに申告します。東京都の案内では、他の道府県にも事務所等を設けている法人は、従業者数などを基準に関係都道府県ごとに所得金額などをあん分して計算した税額を申告して納めるとされています。この基準を分割基準といいます。
税務署に出す書類一式
法人税法では、内国法人は各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づいて申告書を税務署長に提出し、その申告書に貸借対照表・損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならないとされています。添付する書類は法人税法施行規則35条で決まっています。
| 書類 | 内容 | 出す法人 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税・防衛特別法人税の申告書(別表一・別表四など) | 所得や税額の計算を記載する申告書 | 全ての法人(防衛特別法人税の記載欄は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から) |
| 貸借対照表・損益計算書 | その事業年度の決算書 | 全ての法人 |
| 株主資本等変動計算書(合同会社などは社員資本等変動計算書) | 純資産の増減の内容 | 全ての法人 |
| 勘定科目内訳明細書 | 預金・売掛金・借入金などの科目ごとの内訳 | 全ての法人 |
| 事業等の概況に関する書類(法人事業概況説明書) | 事業内容・従業員数・売上の推移など。完全支配関係がある法人がある場合は関係図を含む | 全ての法人 |
| 組織再編成の契約書の写し・明細書 | 合併・分割などを行った場合の契約書等 | 組織再編成を行った法人 |
| 適用額明細書 | 適用を受けた租税特別措置の内容と金額 | 法人税関係の租税特別措置の適用を受ける法人 |
| 消費税の確定申告書 | 消費税・地方消費税の計算 | 消費税の課税事業者 |
適用額明細書は、国税庁の手続案内で、法人税関係の租税特別措置の適用を受けない法人は提出の必要はないとされています。中小企業向けの軽減税率など、特例を使っているかどうかで要否が分かれます。各書類の様式は国税庁『C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告』にまとまっています。
防衛特別法人税の記載欄を忘れない
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を課される法人は防衛特別法人税の納税義務者となり、確定申告書の提出が必要になりました。国税庁のパンフレットでは、防衛特別法人税額が0であっても申告は必要とされています。申告書は法人税・地方法人税と一体の様式ですが、別表一などでは記載欄が別葉になるため、提出漏れに注意が必要です。制度の中身は防衛特別法人税の記事で扱っています。
都道府県・市町村に出す書類
都道府県には、法人事業税・特別法人事業税・道府県民税をまとめた申告書を出します。東京都の案内では、法人事業税は特別法人事業税・法人の都民税とあわせて都税事務所(都税支所)・支庁に申告して納めるとされています。市町村には、市町村民税の申告書を出します。提出先と期限の考え方は東京都主税局『法人事業税・法人都民税』が参考になります。他の道府県の場合は、それぞれの県税事務所などの案内で確認します。
地方税の申告書に貸借対照表・損益計算書の添付が法律上求められるのは、東京都の案内では外形標準課税の対象法人や電気供給業などを行う法人とされています。添付書類の要否は、法人の種類と提出先の自治体の案内で確認します。
決算書の提出先一元化
東京都の案内では、令和2年4月1日以後に終了する事業年度について、地方税法で貸借対照表・損益計算書の添付義務がある法人が法人税の申告を e-Tax で行い、あわせてこれらの書類を e-Tax で提供したときは、法人事業税の申告でもこれらの書類を提出したものとみなされます。同じ決算書を国と地方に二重に出さずに済む仕組みです。
赤字でも地方税の申告は要る
東京都の案内では、法人住民税は「法人税割」と「均等割」からなります。法人税割は法人税額に税率を掛けて計算しますが、均等割は資本金等の額などの区分で税額が決まるため、法人税額がない赤字の事業年度でも負担が生じます。赤字でも、都道府県と市町村への申告を忘れないようにします。均等割の仕組みは法人住民税の均等割の記事にまとめています。
申告期限と、期限を延ばす手続
法人の確定申告の期限は、国税・地方税とも原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。国税庁の手続案内では、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合はその翌日が期限になるとされています。
| 税金 | 原則の期限 | 延長の手続 |
|---|---|---|
| 法人税・地方法人税・防衛特別法人税(令和8年4月1日以後に開始する事業年度から) | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 定款の定め等により定時総会が2か月以内に招集されない常況にある場合などは、申告期限の延長の特例(原則1か月)の申請ができる。災害その他やむを得ない理由で決算が確定しない場合は、事業年度終了の日の翌日から45日以内の申請による延長もある(法人税法75条) |
| 消費税・地方消費税 | 課税期間の終了の日から2か月以内 | 法人税の延長の特例を受ける法人が「消費税申告期限延長届出書」を出すと1か月延長 |
| 法人事業税・法人住民税 | 事業年度終了の日から2か月以内 | 東京都の案内では、定時総会が2か月以内に招集されない常況にある法人は延長申請により3か月以内 |
期限を延長した場合、延長した期間中に納める税額には利子税がかかります。法人税法では、延長の特例を受けた法人の法人税について利子税の規定を準用しており、国税庁の消費税の案内でも、延長された期間の納付には利子税を併せて納付する必要があるとされています。延長の特例の申請書は、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までに出す必要があります。
電子申告が義務になる法人と、提出方法の注意
申告書は、国税は e-Tax、地方税は eLTAX で電子申告できます。事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超える法人などは、電子申告が義務です。国税庁は、義務化の対象法人なのに添付書類(特に財務諸表・勘定科目内訳明細書・会社事業概況書)を法令上認められていない PDF や書面で提出している例が多いと注意を呼びかけています。
地方税も同じで、東京都の案内では、事業年度開始の時において資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人などの法人事業税・特別法人事業税・法人住民税の申告は、eLTAX で提出しなければならないとされています。電子申告がされない場合は不申告として扱うと定められています。
電子申告が義務でない法人も e-Tax・eLTAX を使えます。ただし国税庁の案内では、財務諸表や勘定科目内訳明細書などは法令上イメージデータ(PDF など)による送信はできないとされているため、会計ソフトなどからデータ形式で作成して送信します。
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提出前のチェックリスト
最後に、申告書を出す前に確かめたい点をまとめます。提出漏れが起きやすいのは、地方税の提出先と、毎期は使わない書類です。
- 令和8年4月1日以後に開始した事業年度の申告なら、税務署に出す別表に防衛特別法人税の記載欄(別葉)が含まれているか
- 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・勘定科目内訳明細書・法人事業概況説明書がそろっているか
- 租税特別措置を使った場合に、適用額明細書を付けたか
- 消費税の課税事業者なら、消費税の確定申告書を出したか
- 事務所・支店のある全ての都道府県と市町村に申告したか(23区内だけなら都税事務所のみ)
- 決算書の内容が、株主総会などで承認された決算(確定した決算)と一致しているか
- 資本金1億円超の法人なら、e-Tax・eLTAX で、認められたデータ形式で送ったか
まとめ:法人の確定申告は提出先ごとに書類をそろえる
- 国税(法人税・地方法人税・防衛特別法人税・消費税)は税務署へ、地方税(法人事業税・特別法人事業税・法人住民税)は都道府県と市町村へ出す。
- 法人税の申告書には、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・勘定科目内訳明細書・事業等の概況に関する書類を添付する。
- 防衛特別法人税は令和8年4月1日以後に開始する事業年度から始まり、税額が0でも申告が必要。
- 期限は原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内。延長には事前の手続が要り、延長期間には利子税がかかる。
- 資本金1億円超の法人などは e-Tax・eLTAX での電子申告が義務。
提出先と書類を一覧にしておくと、毎期の申告で漏れが起きにくくなります。
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よくある質問
Q. 決算書は税務署と都道府県の両方に出す必要がありますか?
税務署には法人税の申告書の添付書類として必ず出します。地方税の申告で貸借対照表・損益計算書の添付が法律上求められる法人は限られており、その場合も e-Tax で提供すれば法人事業税の申告でも提出したものとみなされる仕組みがあります。提出先の自治体の案内で確認してください。
Q. 防衛特別法人税は、法人税が少ない会社も申告が必要ですか?
令和8年4月1日以後に開始する事業年度について、法人税を課される法人は納税義務者となり、税額が0でも申告が必要とされています。申告書は法人税と一体の様式なので、別表一の別葉を付けて出します。
Q. 支店がある都道府県にも申告書を出すのですか?
事務所や事業所がある都道府県・市町村ごとに申告します。複数の都道府県に事務所等がある法人は、従業者数などの分割基準で所得金額などをあん分して、それぞれに申告・納付します。
Q. 資本金1億円以下でも電子申告できますか?
できます。義務の対象でない法人も e-Tax・eLTAX を使えます。財務諸表や勘定科目内訳明細書は PDF などのイメージデータでは送信できないため、データ形式で作成して送ります。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月30日
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