2期目の決算を初めて税理士に頼むとき、何を用意すればよいか気になりますよね。最初にそろえたいのは、1期目の申告書一式と、設立時からの届出書の控えです。2期目は前期の数字を引き継ぐため、過去の誤りや届出漏れも確認が必要になります。
この記事では、法人が依頼前に用意する書類と、1期目の申告で確認される点を整理します。契約する時期の判断は、税理士と顧問契約を結ぶタイミングの記事で確認できます。
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依頼する前にそろえる1期目の書類
法人税の確定申告書には、その事業年度の貸借対照表・損益計算書などの書類を添付することになっています(法人税法74条3項・法人税法施行規則35条)。2期目を引き継ぐ側は、申告書の本体(別表)だけでなく、これらの添付書類も見て1期目の数字を確かめます。
| 書類 | 2期目のために確認すること |
|---|---|
| 法人税・地方法人税の確定申告書(別表一式) | 所得金額と税額、青色申告書として出したか、繰越欠損金、利益積立金額 |
| 貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書 | 1期目の期末残高(2期目の期首残高になる数字) |
| 勘定科目内訳明細書 | 預金・売掛金・借入金などの残高の内訳 |
| 事業等の概況に関する書類(法人事業概況説明書) | 事業の内容と取引の概況 |
| 都道府県・市町村に出した申告書 | 法人住民税・法人事業税の申告と納付の状況 |
| 消費税の申告書(申告した場合) | 計算の方法(一般課税か簡易課税か)と税額 |
| 設立時から出した届出書・申請書の控え | どの届出が出ているか、提出日が期限内か |
| 会計データ・総勘定元帳・通帳・請求書・領収書 | 決算書の数字の根拠 |
| 定款・登記事項証明書・株主総会の議事録 | 事業年度、資本金の額、役員報酬を決めた記録 |
申告書は、提出した日が分かる記録(e-Taxで送信した記録や、書面で出した控え)とあわせて用意します。1期目に会計ソフトを使っていた場合は、2期目も同じデータを引き継ぐのか、別のソフトへ移すのかで作業が変わるため、ソフト名とデータの状態も伝えます。
最初に確認される届出:期限を過ぎると過去に遡れないもの
届出書や申請書には提出期限があり、期限を過ぎてから出しても、過ぎた期間には効きません。2期目から依頼する場合、1期目までに何を出したかで2期目の扱いが決まります。
| 届出・申請(法人) | 提出期限など | 2期目への影響 |
|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 設立の日(設立登記の日)以後2か月以内 | 提出の有無と、届け出た事業年度・資本金などの内容を確認する |
| 青色申告の承認申請書 | 設立事業年度は、設立の日以後3か月を経過した日と1期目終了の日のいずれか早い日の前日まで。2期目以後は、青色申告書を出したい事業年度開始の日の前日まで | 2期目に入ってから申請しても2期目には間に合わず、3期目からの適用になる |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 設立第1期の確定申告書の提出期限まで | 届け出ていなければ法定償却方法になる(例:機械及び装置は定率法) |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設の事実があった日から1か月以内 | 役員報酬や給与を払い始めているなら提出の有無を確認する |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 給与の支給人員が常時10人未満の場合に申請できる。提出した月の翌月に源泉徴収する分から対象 | 出していなければ、源泉所得税は原則どおり支払った月の翌月10日までに納付。特例の対象は給与・退職金と、税理士などの一定の報酬から源泉徴収した分に限られる |
| 消費税簡易課税制度選択届出書 | 原則として、適用を受けたい課税期間の初日の前日まで | 2期目から簡易課税にするには、原則として1期目のうちに提出が要る |
簡易課税の届出には特例もあります。免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受けて課税事業者となる場合は、登録を受けた日の属する課税期間中に届出書を出せば、その課税期間から簡易課税の適用を受けられます(国税庁タックスアンサーNo.6505)。
青色申告の承認は「みなし承認」も確認する
青色申告の承認申請書を出した場合、青色申告書で申告しようとする事業年度終了の日(中間申告書を出すべき法人は事業年度開始の日以後6か月を経過する日)までに承認または却下の処分がなければ、その日に承認があったものとみなされます(国税庁『C1-19 青色申告書の承認の申請』)。手元に承認の通知が見当たらなくても、申請書の控えと提出日が分かれば、承認されているかを判断する手がかりになります。
償却方法は届け出ていなくても申告はできる
償却方法の届出書を出していない場合は、その資産に法定償却方法を使うことになり、2期目の申告ができなくなるわけではありません。償却方法を変えたいときは、新しい償却方法を採用したい事業年度開始の日の前日までに変更承認申請書を出して承認を受けるのが原則です。ただし、今の償却方法を採用してから3年を経過していない場合は、合併に伴うものなど特別な理由がない限り承認されません(国税庁タックスアンサーNo.5407)。
1期目の申告書で確認される箇所
青色申告書かどうかと繰越欠損金(別表七(一))
1期目が赤字だった場合、その欠損金額を2期目以後の所得から差し引けるか(欠損金の繰越控除)を確認します。国税庁『タックスアンサーNo.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除』では、対象になるのは、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その後の各事業年度も連続して確定申告書を提出し、一定の帳簿書類を保存している法人とされています。
繰り越せるのは、各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度の欠損金額です。資本金1億円以下の普通法人(大法人の100パーセント子法人などを除く)などの中小法人等は、その事業年度の所得金額まで差し引けます。中小法人等以外の法人は、差し引ける額に所得金額の一定割合という限度があります。2期目の申告では、1期目の別表七(一)「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」の金額を引き継ぐため、1期目が青色申告書として出されているかを先に確かめます。
帳簿書類の保存期間にも関係します。法人の帳簿と書類は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存するのが原則ですが、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度は10年間になります(国税庁タックスアンサーNo.5930)。1期目が赤字だった場合は、1期目の帳簿や領収書も10年間残す前提で引き継ぎます。
期首の残高と利益積立金額(別表五(一))
2期目の帳簿の期首残高は、1期目の貸借対照表の期末残高と一致している必要があります。預金は通帳、借入金は返済予定表や残高の分かる書類、売掛金・買掛金は請求書と照らし合わせ、1期目の勘定科目内訳明細書の内訳とも合わせます。
申告書の側では、別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」が2期目に引き継がれます。国税庁の法人税申告書の記載の手引(令和4年版)では、期首現在利益積立金額の欄には、原則として前期分の明細書の「差引翌期首現在利益積立金額」の金額を移記するとされています。この明細書には、税務上の否認金額のうち留保した金額も記載されるため、1期目に申告書の上で加算した金額が2期目以後にどう引き継がれるかもここで分かります。
未納の税金(別表五(二))
法人税は、申告書の提出期限までに納付する決まりです(法人税法77条)。提出期限は事業年度終了の日の翌日から2か月以内なので、1期目の確定申告で納める税金は、2期目に入ってから納付することになります。別表五(二)「租税公課の納付状況等に関する明細書」では、期首現在未納税額の欄に前期分の明細書の期末現在未納税額を記載するとされています(同手引)。2期目の帳簿で、1期目の税金の納付がどの科目で処理されているかを確かめます。
減価償却の明細(別表十六)
1期目に取得した固定資産は、2期目もその取得価額・耐用年数・償却方法をもとに償却を計算します。1期目の別表十六(一)・(二)(定額法・定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)と固定資産台帳を見比べ、1期目に費用として計上した償却費を確かめます。法人では、償却費として損金に算入できるのは、その事業年度に損金経理をした金額のうち償却限度額までです(法人税法31条)。
2期目の途中で始まる手続:中間申告・役員報酬・消費税
法人税の中間申告
法人税法71条では、設立後最初の事業年度は中間申告の対象から除かれていますが、2期目は対象になり得ます。事業年度が6か月を超える普通法人は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に中間申告書を提出します(e-Gov法令検索『法人税法 第71条』)。
中間申告の金額は、前事業年度の法人税額を前事業年度の月数で割り、中間期間の月数を掛けて計算します。この金額が10万円以下の場合や金額がない場合は、中間申告書の提出は要りません。1期目の期間が短い法人では、短い期間の税額を月数で割って6か月分に引き直すため、1期目の税額より大きな額になることがあります。
役員報酬の改定
役員報酬を毎月同額で支払う定期同額給与は、事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(申告期限の延長の特例で月数の指定を受けた法人は、その月数に2を加えた月数)を経過する日までに改定した場合などに、改定の前後それぞれが同額であれば損金に算入できる扱いです(国税庁タックスアンサーNo.5211)。報酬の額を変えること自体はいつでもできますが、この期限を過ぎてからの改定は、臨時改定事由(役員の職制上の地位の変更など)や業績悪化改定事由に当たらない限り定期同額給与の改定として扱われず、損金に算入できない部分が生じます。2期目の期首から3か月以内に報酬を見直す予定があるなら、依頼の時期にかかわらず、この期限を先に確認します。改定の時期の考え方は、役員報酬の3か月ルールの記事で扱っています。
消費税の納税義務(2期目の判定)
法人の2期目には基準期間(前々事業年度)がありません。基準期間がない法人は原則として消費税の納税義務が免除されますが、主に次の場合は2期目も課税事業者になります(国税庁タックスアンサーNo.6531)。
- 2期目の開始の日の資本金の額または出資の金額が1,000万円以上
- 特定期間(法人は原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間)の課税売上高が1,000万円を超えた(課税売上高に代えて給与等支払額の合計額で判定することもできる)
- 適格請求書発行事業者の登録を受けている
特定期間の課税売上高が1,000万円を超えて課税事業者になる場合は、「消費税課税事業者届出書(特定期間用)」を事由が生じたら速やかに提出する手続です。どれに当たるかは、2期目開始の日の資本金の額、インボイスの登録の有無、1期目の前半6か月の売上・給与の実額で決まるため、2期目に消費税の申告が要るかどうかは、依頼の際に1期目の帳簿から確かめます。
1期目の誤りが見つかったときの直し方
引き継ぎの確認で、1期目の申告の誤りが見つかることがあります。1期目の税額や欠損金額を変えるには、1期目について次の手続をとります。
| 誤りの内容 | 手続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1期目の税額が少なかった | 修正申告 | 国税通則法19条 |
| 1期目の欠損金額を多く書いていた | 修正申告 | 国税通則法19条 |
| 1期目の税額が多かった | 更正の請求(法定申告期限から5年以内) | 国税通則法23条 |
| 1期目の欠損金額を少なく書いていた | 更正の請求(法人税は法定申告期限から10年以内) | 国税通則法23条 |
欠損金額の誤りは、1期目の税額が0円のままでも、2期目以後に繰り越す金額が変わるため、修正申告や更正の請求の対象になります。期首残高の誤りを2期目の帳簿でどう直すかは、誤りの内容と金額によって分かれます。手続の流れと加算税の扱いは、修正申告のやり方の記事を参照してください。
税理士への依頼を考えるときの関連記事
依頼する前に自社で確かめておくこと
- 1期目の申告書の控え一式(別表・決算書・勘定科目内訳明細書・概況説明書・地方税・消費税)がそろっているか。
- 届出書・申請書の控えと提出日が分かるか(青色申告・償却方法・給与支払事務所等の開設・納期の特例・消費税関係)。
- 2期目の帳簿の期首残高が、1期目の貸借対照表の期末残高と一致しているか。
- 1期目の税金(法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・消費税)を、いつ、いくら納めたか。
- 2期目の役員報酬の額と、その額を決めた日・決めた記録(株主総会の議事録など)。
- 2期目の中間申告が要るかどうかと、申告・納付を済ませたか。
依頼先の見積りは、仕訳の数や資料の状態に加えて、1期目の申告内容の確認にどれだけ手間がかかるかでも変わります。上の項目を先にまとめておくと、確認の範囲を具体的に伝えられます。
まとめ:2期目の申告は1期目の数字と届出の上に作る
- 2期目の申告書は、1期目の期末残高・利益積立金額・繰越欠損金・未納の税金を引き継いで作る。
- 青色申告の承認申請は、2期目から適用するなら2期目開始の日の前日までが期限。2期目に入ってからでは3期目からになる。
- 1期目の欠損金を繰り越すには、1期目が青色申告書であることと、その後の連続した申告・帳簿の保存が要る。
- 2期目からは、法人税の中間申告(前期の税額をもとに計算して10万円超なら必要)や、特定期間による消費税の判定が関わってくる。
- 1期目の誤りは、税額や欠損金額の増減に応じて、修正申告か更正の請求で直す。
どこまで確認が要るかは1期目の申告の内容で変わるため、控え一式と届出の控えをそろえてから依頼すると、引き継ぎが進めやすくなります。
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よくある質問
Q. 1期目は白色申告でした。2期目から青色申告にできますか?
青色申告の承認申請書は、青色申告書を出そうとする事業年度開始の日の前日までに出す必要があります。2期目が始まる前に出していれば2期目から、2期目に入ってから出す場合は3期目からの適用を目指すことになります。また、1期目の欠損金は、1期目が青色申告書でなければ原則として繰越控除の対象になりません。
Q. 1期目が赤字で法人税が0円でした。2期目の中間申告は必要ですか?
法人税の中間申告の金額は、前事業年度の法人税額をもとに計算します。法人税法71条では、その金額が10万円以下の場合や金額がない場合は、中間申告書を提出しなくてよいとされています。
Q. 1期目の申告書の誤りは、2期目の申告書でまとめて直せますか?
1期目の税額や欠損金額を変えるには、1期目について修正申告または更正の請求をします。2期目の申告書は1期目の数字を引き継いで作るため、1期目を直すと2期目の期首の数字も変わることがあります。どちらを先に直すかを含めて、誤りが見つかった時点で整理します。
Q. 償却方法の届出を出し忘れていました。2期目から定額法に変えられますか?
届出を出していない資産には法定償却方法が使われます。償却方法を変えるには、新しい方法を採用したい事業年度開始の日の前日までに変更承認申請書を出し、承認を受けるのが原則です。今の方法を採用してから3年を経過していない場合は、特別な理由がない限り承認されません。
この記事は公認会計士・税理士の鳥羽卓朗が監修しています。
最終更新日: 2026年10月26日
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