税理士に支払う顧問料や決算料は、どの勘定科目で処理すればよいのでしょうか。結論として、税理士費用は「支払手数料」で処理するのが一般的です。ただし、個人の税理士に支払う場合は源泉徴収が必要になるなど、仕訳にはいくつか注意点があります。
本記事では、税理士費用の勘定科目と仕訳、源泉徴収の要否、消費税・インボイスの扱いを、2026年時点の情報に仕訳例を交えて解説します。
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税理士費用の勘定科目は「支払手数料」が一般的
税理士への顧問料・決算料・記帳代行料などは、「支払手数料」で処理するのが実務上もっとも一般的です。会社によっては「支払報酬料」「支払報酬」「支払顧問料」といった科目を使うこともありますが、どれを使っても税務上の取り扱いは変わりません。重要なのは、一度決めた科目を継続して使うこと(継続性)です。
なお、税理士費用は事業のための費用として、法人は損金、個人事業主は必要経費に算入できます。
| 費用の内容 | 勘定科目 |
|---|---|
| 顧問料・決算料・記帳代行料 | 支払手数料(または支払報酬料) |
| 源泉徴収した所得税 | 預り金 |
| 支払った消費税 | 仮払消費税等(税抜経理の場合) |
個人の税理士への支払いは源泉徴収が必要
税理士費用の仕訳でもっとも注意すべきなのが、源泉徴収です。個人で開業している税理士に報酬を支払う場合、支払者(会社・個人事業主で源泉徴収義務者に該当する場合)は所得税を源泉徴収する義務があります。税率は、1回の支払金額が100万円以下の部分が10.21%、100万円を超える部分が20.42%です(復興特別所得税を含む)。
一方、支払先が税理士法人(法人)の場合は、源泉徴収は不要です。個人の税理士か税理士法人かで扱いが変わる点に注意してください。源泉徴収した所得税は「預り金」として計上し、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。源泉徴収の詳細は国税庁 No.2798で確認できます。
仕訳例(源泉徴収あり・税抜経理)
個人の税理士に、顧問料の税抜金額50,000円(消費税5,000円、税込55,000円)を支払うケースを考えます。源泉徴収税額は、税抜報酬額50,000円 × 10.21% = 5,105円です(請求書で報酬額と消費税額が明確に区分されている場合、源泉徴収は税抜額に対して計算できます)。実際に振り込む金額は、55,000円 − 5,105円 = 49,895円になります。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 50,000円 | 普通預金 | 49,895円 |
| 仮払消費税等 | 5,000円 | 預り金(源泉所得税) | 5,105円 |
税込経理の場合は、支払手数料55,000円として消費税を区分せず計上します。源泉徴収した5,105円は、翌月10日までに納付し、その際に「預り金」を取り崩します。
消費税とインボイスの扱い
税理士報酬は、消費税の課税仕入れ(標準税率10%)に該当し、仕入税額控除の対象になります。ただし、インボイス制度のもとで仕入税額控除を受けるには、税理士(適格請求書発行事業者)が発行する適格請求書(インボイス)の保存が必要です。多くの税理士は適格請求書発行事業者として登録していますが、念のため請求書に登録番号が記載されているかを確認しましょう。
なお、簡易課税や2割特例を選択している場合は、仕入側のインボイス保存は不要です。自社の消費税の計算方法に応じて対応してください。消費税の計算方法は法人の消費税の計算方法|原則課税と簡易課税の違いで解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 税理士費用の勘定科目は何を使えばよいですか?
A. 「支払手数料」で処理するのが一般的です。「支払報酬料」「支払報酬」などを使う会社もありますが、税務上の取り扱いは変わりません。一度決めた科目を継続して使うことが大切です。
Q2. 税理士費用から源泉徴収は必要ですか?
A. 個人の税理士に支払う場合は源泉徴収が必要です(税率10.21%、1回100万円を超える部分は20.42%)。支払先が税理士法人の場合は源泉徴収は不要です。
Q3. 源泉徴収した税金はいつ納付しますか?
A. 原則として、報酬を支払った月の翌月10日までに納付します。源泉徴収税額は「預り金」として計上し、納付時に取り崩します。納期の特例の承認を受けている場合は、半年分をまとめて納付できます。
Q4. 税理士費用は消費税の仕入税額控除の対象ですか?
A. 対象です。税理士報酬は課税仕入れ(標準税率10%)にあたります。原則課税で仕入税額控除を受けるには、税理士が発行する適格請求書(インボイス)の保存が必要です。簡易課税・2割特例の場合は保存不要です。
Q5. 税理士費用は経費になりますか?
A. なります。事業のために支払う税理士費用は、法人では損金、個人事業主では必要経費に算入できます。プライベートな確定申告(医療費控除など)のための費用は、給与所得者の場合は原則として経費になりません。
参考資料
税理士費用は「支払手数料」で処理し、個人の税理士への支払いは源泉徴収(10.21%・100万円超は20.42%)、消費税は課税仕入れ、というのが基本です。個人か法人かで源泉徴収の要否が変わる点と、インボイスの保存が仕入税額控除の要件になる点を押さえておきましょう。
リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績とクラウド会計導入支援の知見をもとに、源泉徴収の自動仕訳やインボイス対応を含めた記帳をサポートしています。仕訳や消費税の処理に不安のある方は、お気軽にご相談ください。
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監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、中小企業の記帳・税務顧問を専門とする。
最終更新日: 2026年7月2日
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