2026年の税制改正を見ても、うちの会社は何から対応すればよいのか、判断に迷っていませんか。
防衛特別法人税への対応やインボイス2割特例の終了、給与の控除見直しなど、確認すべき項目は複数あります。影響が出る時期は決算月や課税期間によって異なるため、自社の申告や年末調整の予定に合わせた確認が必要です。
この記事では、中小企業に関わる変更点を施行時期・負担額・対応方法で整理し、優先して確認したい点をお伝えします。
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2026年税制改正で本当に何が変わる?全体像
主要な改正項目と施行タイミング
| 改正項目 | 適用開始 | 中小企業への影響 |
|---|---|---|
| 防衛特別法人税の創設 | 2026年4月1日以降に開始する事業年度 | (法人税額−年500万円)×4%の付加税・税額0円でも申告が必要 |
| インボイス2割特例の終了 | 2026年10月1日以後に開始する課税期間から(3月決算の法人は2027年4月開始の事業年度から) | 消費税納税額が2〜3倍に増加するケースも |
| 電子帳簿保存法の運用厳格化 | 2026年1月以降 | 紙保存違反で青色申告取消リスク |
| 基礎控除・給与所得控除の引上げ(定額減税は2024年で終了) | 2026年分(令和8年12月1日施行・12月の年末調整で精算) | 年末調整で従業員ごとの精算が必要 |
| 扶養控除(年収の壁)の見直し | 2026年分以降 | 従業員の手取り・社会保険加入への影響 |
それぞれの改正は単独で見ると小さな変更ですが、3〜5項目が同時並行で動くため、対応漏れが追徴課税やペナルティに直結します。
防衛特別法人税の税率と影響額
制度の概要
防衛特別法人税(=防衛費の財源確保を目的とした法人税の付加税)は、2026年4月1日以降に開始する事業年度から課されます。所得税額控除など一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額(基準法人税額)から年500万円を控除した金額に、4%を掛けて計算します。各事業年度の所得に対する法人税を課される法人はすべて納税義務者となり、税額が0円でも防衛特別法人税の申告書の提出が必要です。
影響額の試算(中小企業ケース)
防衛特別法人税 =(基準法人税額 − 年500万円)× 4%
| 課税所得 | 法人税額(中小特例適用後) | 防衛特別法人税 |
|---|---|---|
| 400万円 | 約60万円 | 0円(申告は必要) |
| 800万円 | 約120万円 | 0円(申告は必要) |
| 1,500万円 | 約282万円 | 0円(申告は必要) |
| 3,000万円 | 約630万円 | 約5.2万円 |
年500万円の控除があるため、基準法人税額が500万円以下(中小法人なら課税所得でおおむね2,400万円まで)の会社では税負担は生じません。それを超える利益水準の企業ほど絶対額の負担が大きくなります。役員報酬の最適化・税額控除の最大活用で、法人税額そのものを圧縮する対策が有効です。
税制改正は施行タイミング・経過措置(=制度移行期に納税者の急激な負担増を緩和するための暫定的な措置)・実務インパクトの3点で読み解く必要があります。リーパル会計事務所では、決算期ごとに影響額を試算し、合法的な圧縮策を顧問先と設計しています。
インボイス対応をしないと取引停止も。3つの実務リスク
2割特例の終了スケジュール
インボイス制度(=消費税の仕入税額控除を受けるために必要事項を記載した「適格請求書」の保存を義務化する制度)の2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間までで終了します。3月決算の法人なら2027年3月期、12月決算の法人なら2026年12月期、個人事業主なら2026年分が最後です。
| 期間 | 2割特例の適用可否 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日の日を含む課税期間 | 適用可 |
| 2026年10月1日以後に開始する課税期間 | 適用不可(原則課税または簡易課税へ移行。個人事業主は2027年分・2028年分に3割特例も選べる) |
移行後の選択肢
| 課税方式 | 計算式 | 向いている業種 |
|---|---|---|
| 原則課税 | 売上消費税 − 仕入消費税(仕入税額控除) | 製造・建設・卸売など仕入比率が高い業種 |
| 簡易課税 | 売上消費税 × (1 − みなし仕入率) | コンサル・士業・IT業など仕入比率が低い業種 |
簡易課税を選ぶには、適用したい課税期間の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」の提出が必要です。3月決算の法人が、2割特例の最後となる2027年3月期の次の事業年度(2027年4月開始)から適用したい場合、原則は2027年3月31日までの提出です。なお、2割特例を使った課税期間の翌課税期間から適用する場合は特例があり、その翌課税期間の確定申告期限までに提出すれば、その翌課税期間から適用できます(国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問117)。
対応漏れで追徴課税。電子帳簿保存法の見落としポイント5つ
電子帳簿保存法(=帳簿・書類を電子データで保存することを定めた法律)は2026年1月以降、運用が一段と厳格化されています。
見落とされがちな5項目
- メールPDFで届いた請求書を印刷して紙で保存するのは原則不可
- クラウドサービス(freee・Slack・Dropbox等)からダウンロードした請求書も電子保存対象
- 検索要件(日付・金額・取引先)の確保が必要(前々期売上1,000万円以下は緩和)
- タイムスタンプ(=電子データに「いつ存在していたか」を証明する電子的な刻印)の付与または訂正削除履歴の記録が必須
- 違反時は青色申告の承認取消につながる重大リスク
リーパル会計事務所では1,100社以上の関与実績をもとに、freee・マネーフォワード等のクラウド会計と組み合わせた電子保存ルールの整備を支援しています。
定額減税2026の取り扱い:2026年は実施されない
給与担当者が押さえるべきポイント
定額減税(所得税3万円・住民税1万円の特別控除)は2024年(令和6年)6月に実施された令和6年限りの措置であり、2025年・2026年に同じ枠組みの定額減税は実施されません(2026年は基礎控除・給与所得控除の引上げで対応)。
2024年の定額減税は、本人と同一生計配偶者・扶養親族1人につき所得税3万円・住民税1万円を、合計所得金額1,805万円以下の人を対象に、毎月の源泉徴収税額などから差し引く形で行われました(控除しきれない分は市区町村の調整給付)。2026年の給与計算でこの処理を続ける必要はありません。2026年に給与担当者が対応するのは、令和8年度税制改正による基礎控除・給与所得控除の引上げで、毎月の源泉徴収は改正前の税額表のまま、令和8年12月の年末調整でまとめて精算します。
自社への影響を判断しにくい場合は、リーパル会計事務所の無料相談で具体的に検討できます。決算月・所得規模・従業員構成をお伝えいただければ、その場で影響額の概算をお出しします。
扶養控除見直しと「年収の壁」への対応
主な年収の壁(税の金額は令和8年分・給与収入だけの場合)
| 年収の壁 | 内容 |
|---|---|
| 106万円 | 社会保険加入義務(一定規模以上の企業) |
| 130万円 | 社会保険の被扶養者から外れる |
| 136万円 | 配偶者控除・扶養控除の対象になる上限(令和7年分は123万円、令和6年分以前は103万円) |
| 169万円 | 配偶者特別控除が段階的に減り始める(令和7年分は160万円、平成30年分から令和6年分までは150万円) |
| 178万円 | 本人に所得税がかかり始める(令和7年分は160万円、令和6年分以前は103万円) |
| 207万円 | 配偶者特別控除がゼロになる(平成30年分から令和7年分までは約201万円) |
令和7年度税制改正で基礎控除が48万円から最大95万円(令和7年分)に、給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられた結果、所得税の負担が発生する給与収入のラインは「103万円」から「160万円」へと拡大されました。(160万円への拡大は令和7年分から)さらに令和8年度税制改正で基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、令和8年分・令和9年分は、所得税の負担が始まる給与収入が178万円になりました(令和8年12月1日施行)。19〜23歳未満の親族について合計所得58万円超(令和8年分は62万円超)〜123万円以下までを対象とする「特定親族特別控除」(最大63万円)も新設され、扶養控除や配偶者控除の所得要件も、令和7年分は58万円(給与123万円)、令和8年分は62万円(給与136万円)に引き上げられています。従業員への周知タイミングを早めに設計しておくことが重要です。
令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等は令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税について適用されます。基礎控除は合計所得489万円以下で104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円となり、扶養親族等の所得要件は合計所得62万円以下(給与収入136万円以下)に緩和されました。給与担当者の実務対応は【令和8年分】年末調整の変更点と実務対応、19歳以上23歳未満の子を扶養する従業員への案内は特定親族特別控除の申告書の書き方【令和8年分】にまとめています。
中小企業が活用できる優遇制度(増税分の相殺策)
| 制度 | 内容 | 活用ポイント |
|---|---|---|
| 賃上げ促進税制 | 給与増加額の最大40%を税額控除 | 前年比1.5〜3%以上の賃上げで適用 |
| 中小企業経営強化税制 | 設備投資の即時償却 or 10%税額控除 | 認定経営革新等支援機関の事前確認が必要 |
| 研究開発税制 | 研究開発費の一部を税額控除 | IT・製造業の試算優位性が高い |
これらの優遇制度を組み合わせれば、防衛特別法人税の増税分を実質的に相殺できるケースも珍しくありません。
よくある質問
Q1. 防衛特別法人税はいつから適用されますか?
A. 2026年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。3月決算の会社であれば、2026年4月〜2027年3月の事業年度(翌期)から適用です。
Q2. インボイス2割特例の終了後、どちらの課税方式を選べばいいですか?
A. 業種・仕入比率によって最適な選択肢が異なります。コンサル・士業など仕入が少ない業種は簡易課税(サービス業のみなし仕入率50%)が有利なケースが多いです。具体的な試算はリーパル会計事務所までご相談ください。
Q3. 電子帳簿保存法の対応が遅れた場合のペナルティは?
A. 電子取引データの電子保存義務に違反した場合、帳簿書類の保存不備として青色申告の取り消しリスクがあります。早急に体制を整えることをお勧めします。
Q4. 防衛特別法人税の節税策はありますか?
A. 防衛特別法人税は法人税額に連動するため、法人税を圧縮することで間接的に節税できます。役員報酬の最適化・損金算入できる費用の活用など、通常の節税策が有効です。
Q5. 2026年の税制改正で中小企業が最も注意すべき点は?
A. インボイス2割特例の終了(2026年9月30日を含む課税期間まで)が最も即効性のある変更です。2割特例が使えなくなる課税期間以降の消費税負担増加を、事前に計画に織り込んでおくことが重要です。
Q6. 改正対応の優先順位を判断する基準はありますか?
A. 「不対応時のペナルティの重さ」と「対応の難易度」の2軸で考えます。電子帳簿保存法は青色申告取消というペナルティが重く、優先度最上位です。次にインボイス2割特例(届出期限)、その後に防衛特別法人税(試算)の順です。
まとめ:2026年税制改正は「早めの対策」が成果を分ける
2026年の税制改正は、防衛特別法人税という増税要素とインボイス2割特例終了による消費税負担増が同時に到来します。一方で賃上げ促進税制・中小企業経営強化税制という優遇制度も継続しており、組み合わせ次第で実質的な税負担を最小化できます。
2026年税制改正は、防衛特別法人税の4月施行・インボイス2割特例の終了(2026年9月30日を含む課税期間まで)・電帳法の運用厳格化が同じ年度に同時並行で動く特殊な年です。「どれか一つは経過措置で乗り切れるだろう」と先送りすると、3つが連鎖してキャッシュ・税負担・申告書類の3方向に同時に効いてきます。リーパル会計事務所では1,100社以上の関与実績をもとに、決算期ごとに3改正の影響額を試算し、賃上げ促進税制・中小企業経営強化税制との組み合わせで実質負担を最小化する優先順位の設計を支援しています。決算月と現在の課税方式・電子保存対応状況をお聞かせいただければ、その場で「どの改正を最優先で着手すべきか」をフラットに整理できます。
リーパル会計事務所|関与実績1,100社以上・全国オンライン対応
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参考資料
関連記事
参考リンク: 国税庁「令和8年度税制改正の概要」
監修者: 鳥羽 卓朗(公認会計士・税理士)
リーパル会計事務所 代表。PwCあらた有限責任監査法人出身。1,100社以上の関与実績を持ち、2026年税制改正(防衛特別法人税・インボイス・電帳法)の中小企業向け影響試算と優先順位設計を専門とする。
最終更新日: 2026年10月24日
リーパル会計事務所では、1,100社以上の関与実績をもとに、2026年税制改正の影響額試算・対応優先順位の設計・中小企業向けの相殺策(賃上げ促進税制/中小企業経営強化税制)の組み合わせ提案を行っています。freee・マネーフォワードクラウド両対応の認定アドバイザーとして、決算期ごとの試算と顧問先への影響シミュレーションを継続的に提供しています。